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インタビュー 03

松壽会は1人1人が内発的な動機付けを引き出せるようにモンテッソーリ教育の考え方や、選択理論、フロー理論を参考にしながら、子どもも大人も笑顔のあふれる教育環境を築くために様々な改革を進めています。
取り組みを通して、どのようにして教育環境が変化し、人々の笑顔が広がっていくのか。 松壽会 理事長の松下敦士が、その舞台裏を紹介します。

お話を伺った人

社会福祉法人松壽会 理事長 松下敦士さん

自分で考え、決断し、行動できるチカラを育む

Q1.そもそも、どうして松下さんは自発性をうながす環境づくりを大切にしているんですか?

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僕自身、頼まれたことはできるのですが、他人からの指示はほとんど受け入れられないんです。 どうやら自分は内発的な動機があって、これは面白い!出来るかも?と思って初めて行動するようなんです。

一般的には、言われた通りにやる、いわゆるボスマネジメント教育の世界があります。でも、これからの社会で必要とされるのは、これとは違うものだと思ったんです。子どもの教育・保育に携わるのであれば、自分で考え、自分で判断し、自分で行動できる子どもを育てた方が、これからの世の中のためになるのではないかと考えています。

Q2.自立心を育む教育がいいと思うのはどうしてですか?

15年位前から、日本経済とその将来を考えていて、なんとなく悪くなっていきそうと感じていました。受け身の人が多かったからです。AIもありますけど、システム化が進めば、人はやることが少なくなっていくのではないでしょうか。

皆なんとなく、今の社会が続いて、それなりの生活ができると思い込んでいると思うんです。でも実際は、社会はどんどん変化していて、指示待ちの人の価値は相対的にどんどん下がっていきます。だから、自分で判断して、自分で動いていけるようにならないと困ってしまうんじゃないかな、と。

自立した子どもを育てていくためには職員にも自立心が必要です。だって職員ができていなければ、子どもたちもできないですから。

職員の主体性を引き出すために

Q3.職員の皆さんが主体的に行動できるようになるために具体的に何をされたのでしょうか?

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まず労働時間を短くしました。はじめての園ができた2019年あたりは、まだ保育業界では、仕事を持ち帰るし、残業するのが基本で、定時に帰るという概念があまりなかったからです。

例えば、タイムカードや給与計算はクラウド化しました。業務支援ツールも導入しました。保育園の現場に行くと紙の書類でいっぱいで、保護者からの園への休みの連絡も電話でしなければなりませんでした。アプリであればすぐに連絡し、キチンと情報を共有できます。

それから給食を外部委託しました。給食のスタッフが一人休むと園長先生が入って一緒に調理したり、食材の発注をしたりしないといけないと聞いたからです。保育の業務のようで保育の業務ではないタスクを減らしていきました。

もし職員が子育てをしていたら、残業せずに家に帰らざるを得ないし、それができない状況だと仕事を辞めざるを得ない。だから、育休後も時短または同じように働ける、早く帰れる環境を作ろうとしています。

Q4.労働時間を短くすることと、職員のみなさんが主体的に行動できるようになることは、どのように繋がっていくのでしょうか?

本人にゆとりがないと、自発的に動くことなんて、できないと思うんです。考える時間もないから、言われたことをやっていれば充分だと思い込んでしまう。多くの保育士は子どもが好きだから、本当は子どものためにいろいろしたいと思っているはずなんです。けれどやることが多くて保育の業務に使える時間が少ないんですよね。その時間を確保するための環境を整えています。実際に、他の保育園から来た職員は有給も取りやすいし、とても働きやすいと言ってくれていますね。

Q5. 他にも、スタッフ間で1on1の導入を始められたんですね。導入の背景をお伺いできますか?

若い子が辞めてしまうことが多かったんです。その理由を考えた時に、職員同士の価値観の違いにあるのかなと思って。特に園長先生や主任と新卒の子だと40歳くらい歳が違うので、考え方も大きく異なるはずなんです。

Q6.たしかに、かなりギャップが生まれそうですね。

そうなんです。だからこそ、心理的に安全な環境を確保する必要があると思っています。保育園では、皆が同じ時間に働くわけではないので、普通の職場に比べて雑談をする機会が少ないんです。ほとんどの時間を子どもたちと過ごすわけですから、職員同士はお互いのことを案外知らないんです。今日も1on1してきましたが、園長と新しく入った副主任の先生が二人とも韓流ドラマが好きだということが分かりました。なんでこんな考え方なんだろうとか、なんで急いで帰らなきゃいけないんだろうとか、そういうことが少しでもわかれば、協力しやすくなると考えています。

自発性を引き出す保育環境と職員の言葉

Q7. はたらく環境を耕しながら、その上で行っているのが「保育環境の見える化」と聞いています。これはどのような取り組みでしょうか?

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これは、子どもが自ら選択できる環境を作るということです。例えば、「楽器をやるよ」ではなくて、大人が楽器を鳴らしていたら、子どもは自分も楽器を鳴らしたくなる。その状況が分かるようにしておいて、あとは子どもの意志に任せます。靴を脱ぐ場所は、床の色が変わっているだけで「ここは靴を脱ぐ場所」、というのが分かったりもするんですよね。

Q8.それが内発的動機付けというところにも繋がっているんですか?

そうですね。子どもが自ら望んだ時にその行動がとりやすいような環境をつくっています。

Q9.言葉の使い方にも気を配っているとお聞きしました。

「勉強しなさい」というのは、指示だから内発的な動機にはならないですよね?
そうではなくて、「一緒にやろう」という声かけのほうがいいかなぁ。この言語環境についてはまずは職員の言葉が変わるようにしようとしています。

というのも職員同士の声かけの中には、このサポートする言葉が使われづらい。特に想いが強い職員は、指示になりやすいと思うんです。だけど、価値観が違うのは当然なので、相手にどう伝えるかが大切なんですよね。

Q10.実際にどのように職員のみなさんの言葉を変えていっているのでしょうか?

「指示する言葉」と「サポートする言葉」についての参考文献を用意して、月に1回はミーティングで、どのような伝え方をするとよいかを考えてもらっています。

働く大人も子どもも笑顔で満たす環境づくり

Q11.このような考え方を大人が実践することで、働く人にとってどのようなメリットがあると思いますか?

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みんながのびのびと自立し、先生同士の関係が良好になり、言葉遣いが協調的になれば、生産性は向上すると考えています。その結果、辞める人が減り、保育園の人気にもつながると思います。

Q12.働く人が生き生きしている職場は魅力的ですよね。

「そうですね。保育園で職員は子どものことばかり考えています。それが本来あるべき姿ですが、そうあるためには職員のみんなが心身ともに健やかであるべきだと思うんです。

ですから、松壽会は「関わる人に笑顔を Smile to everyone」という方針を掲げています。働く人も子どもも、関わるすべての人が笑顔になれる環境づくりを目指しています。

想像してみてください。子どもたちの笑顔と活気溢れる笑い声に包まれた、教育・保育の環境を。子どもたちは夢中になって遊んだり、友だちと協力したり、達成感を感じたりして、笑顔が絶えない。職員たちは子どもたちの目を見て、一人ひとりに寄り添いながら笑顔で接し、保護者の方々も子どもの成長を喜び、職員同士も協力し合って、心温まる人間関係が築かれている。温かく、居心地のいい環境の中で、みんなの笑顔が自然と溢れる。そんないい環境、いい人間関係のなかで人が育つ環境をこれからも作っていきたいです。

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